「僕たちがやりました」の感想
ドラマ化されたことでも話題になっている「僕たちがやりました」を全巻読んだので感想を書いていきます。
原作は金城宗幸、作画は荒木光です。9巻で完結しているということもあり、ストーリー全体は引き延ばされていないし、ダレることもないため好感を覚えました。
以下、ネタバレ込みの感想です。
登場人物たちの清々しいほどのクズっぷり
この漫画、登場人物が凄いクズです。クズ行動を以下に列挙してみました。
・ボコられたから他校に爆弾をしかける
・犯罪をしたから海外逃亡を企てる
・他人を金で買収する
・友人のお金をパクる
・友人の彼女と寝る
・替え玉を作って犯人に仕立て上げる
・友人が好きだった人を寝取って、友人を自殺に追い込む
・犯罪者であることを隠しながら幸せな家庭を築く
上記のように、滅茶苦茶クズ行動が多かったです。しかしだからといって不快に感じることは少なかったですね。
こういった行動を人間が取るのも、ある意味リアルなのかなぁと感じました。中途半端なクズよりも、こういった振り切ったクズの方が見ていて楽しめました。
この漫画から感じたこと
自分は、この漫画を現代への風刺と捉えました。
世の中には犯人が未だ逮捕されておらず、未解決のまま放置されている事件が多いです。中には替え玉に濡れ衣を着せて、冤罪として解決したように見せかけることもあったでしょう。
この漫画が伝えたかったことは「人が犯した罪は死ぬまで背負わなければいけない」ということだと思います。
主人公たちは罪を犯しましたが、皆それぞれの人生を歩みつつ家庭を築いている人間もいます。一見順調で幸せに見える彼らも、ふと気を緩めると自分たちが殺めた人間の姿が脳裏に浮かんでくるだろうし、一生平穏な人生は送ることができません。
自分の本来の姿に蓋をしつつ、無理やり日常生活を送っているように感じました。この作品はそういった人間に向けての皮肉・批判だったと思います。
最後のシーンの意味は何だったんだろう
最後のページは主人公が満面の笑みを浮かべるシーンでした。このシーンは全く意味が分からなかったし、作者が匙を投げたのではないかと思いましたが一応考察します。
このシーンは大人になってからの主人公の様子ではなく、高校生の頃に起こした爆破事件の最中に浮かべた表情です。
まず、自分には最初から疑問点がありました。そもそも主人公は常に「そこそこの人生」を目指していました。普通に考えてそんな彼が、向かいの高校を爆破して殺害することを企画するでしょうか。
ありえませんよね。ちょっとした悪ふざけでもこれは度が過ぎます。僕の考えですが、実際は「そこそこの人生」なんてものは志向しておらず、人を殺めることで日常生活に刺激をもたらしたかったのでしょう。
爆破によって人が苦しむさまを見て、主人公は自分の窮屈な人生に新たな風が吹き込むのを感じて、思わず満面の笑みを浮かべたのだと考えます。
最後に
この漫画の登場人物はすごく緩い雰囲気がありました。まさに現代の高校生という感じです。主人公はGANTZの玄野計に似ています。序盤のクズっぷりも彼とそっくりです。GANTZが好きな人は気に入ると思うので、是非読んでみてください。