県内に残るのか、県外に行ってしまうのか
医学部に通っていると、将来的にその大学の医局に入るのか、はたまた自分の地元や全く別の地域に行って研修医になるのか決める必要が出てきます。つまり「君は県内で就職するの?それとも県外?」というやつですね。
入学する際の面接試験では誰しもが「県内で就職します!」と、意気揚々と答えるわけですが、いざ実際に6年間医学部に通っていると多少なりとも心に変化が訪れるわけです。初めは県内のつもりでも、突然嫌気がさして県外に路線変更する人もいます。中には地域枠という縛りがあるので、初めから道が決まっている人もいます。
県外に行くことを”逃げる”というような表現をする人がいるのも事実です。ただ自分が将来、どんなことを学んでいきたいのか、どんな感じのお医者さんになりたいのか吟味して、研修先を選んだ結果が「県外の病院だった」ってことも十分あり得るのですね。
しかし地域で頑張っているお医者さんにとって、県外に行ってしまう学生はどうもプラスな印象は受けないようですから、なかなか周囲に伝えるのは難しい部分があります。
県内で頑張れるお医者さんはうらやましい
いろいろと意見はあると思いますが、僕は「県内に残って働けるというのは素晴らしい事で、うらやましい」と感じます。
医学部は6年間という長い歳月をかけて勉強します。となると、その間にいろんなことがあるわけですから、中には人間関係で溝が生じることもあります。
県内で働くということはこれまでの大学時代の人間関係を引き継ぎながらも、医学という狭い世界で仕事をするということになります。ですから、あらかじめ健全な人づきあいができていない人は、なかなか県内で就職するというのは難しいと思うのです。
僕自身、大学の中にこの人苦手だなーみたいな人もいたりするので、もし卒業後にその人と再び同じ環境で働くことになったら正直きつかったりします。
少し例が飛躍しますが、いじめられっ子の理論に近いものがあります。
いじめられっ子は基本的にどこにいってもいじめられます。ですからいじめ問題は解決しません。なので解決を目指すよりも、そもそもいじめられっ子が違う場所に転々と移動して、いじめからなるべく逃げることが重要になってきます。
つまり、何か人間関係で歪みが生じたときにその場所にとどまっておくのは得策ではありません。医学部でも同じことが言えて、もし人間関係でトラブルが発生したのなら、県外にいってズバッと環境を変えるべきだと僕は思います。
以上のことを考えると「県内で就職しよう!」という意思のある人は、おそらくですが普段から周りは素晴らしい人たちに囲まれていて、研修医生活が楽しい学生生活の延長線上にあるのだと思います。
僕は正反対の人生を送っています。だから、実を言うと僕はこういう人たちが正直うらやましかったりするのです。。